LODAC Museumでは,多様な情報源から博物館に関するデータを収集して,Linked Dataのアプローチで統合的に扱えるようにする仕組みを構築しています.博物館に関するデータとは,主に収蔵品と作者,そして施設についてのデータです.これらを中心としてイベントデータや位置データ,DBpedia,生物種データ等とリンクすることで,博物館に関するデータを様々な視点からひいてくることができるようになっています.
2012年6月6日現在,主なデータは以下のとおりです.
種別 | RDFタイプ | 件数 |
---|---|---|
収蔵品(全体) | lodac:Specimen + lodac:Work | 約177万 |
収蔵品(標本) | lodac:Specimen | 約169万 |
収蔵品(美術品等,標本以外) | lodac:Work | 約13万 |
作者 | foaf:Person | 約8800 |
施設 | foaf:Organization | 約20万 |
例えば藤田嗣治という画家はhttp://lod.ac/id/455,横浜美術館はhttp://lod.ac/id/3172のように,各対象毎にURIが割り当てられています.
LODAC Locationは位置情報に関するLinked Dataです.現在扱っているのは住所データ,郵便番号データ,電車データになります.
種別 | RDFタイプ | 件数 |
---|---|---|
住所 | lodac:Prefecture, lodac:Municipality, lodac:Word, lodac:CityArea, lodac:CityDistinct | 275696 |
郵便番号 | lodac:PostalCode | 140456 |
駅 | lodac:Station | 10745 |
路線 | lodac:Line | 595 |
鉄道会社 | lodac:Railway | 18 |
LODAC Speciesは分散的に公開されている生物多様性に関するデータをLinked Dataのアプローチによって統合的に利用できるようにすることを目指しているプロジェクトです.現在は生物多様性に関するデータを結びつけるキーとして生物種データに焦点を当てて行なっています.生物種データは博物館の標本データから,生物多様性や地球環境等の諸問題のように多岐にわたる分野で関わってくるため,一つの基盤となりえるデータです.本プロジェクトでは専門家が作成した種名・分類データを他の専門的な生物多様性のデータや,より汎用的なデータ (DBpedia, Freebase等) に結びつけています.また,LODAC Museumに含まれている標本データからもリンクすることによって,博物館データから生物種を通して様々なデータにアクセスすることができるようになっています.
種別 | RDFタイプ | 件数 |
種名 | species:SpeciesName | 113118 |
生物学辞書 (BDLS: Building Dictionary for Life Science)は, 生命科学分野における全ての日本語用語を英語やラテン語等の外部用語オントロジーと対応づける手掛かりとともに,収集することを目指しています.生物学辞書には,大きく分けて生物種名と学術用語の二種類があります.各用語は学名,和名,英名,慣用名といった様々な呼び方がなされますが,それら全てを収集して活用できるようにしています.
LODAC BDLSでは,BDLSをLinked Dataとして構築しなおすことで,生物種名や学術用語のグラフを形成します.これによって,和名と学名と英名の関係や和名同士の関係などを辿ることが容易となります.また,BDLSの特徴として,種名や用語の関係の出典情報も明示されています.これは出典によって使われているラベルや関係等が異なるということが良く発生するために,出典を基準に判断できる必要があるためです.この出典情報もグラフで表現することにより,出典自体の関係や,どの関係がどの出典由来であるかということを辿ることが可能となります.
以下の図は,"Papilio xuthus"という種名に関連するデータです.出典毎に関連データを表示するようになっています.
LODAC BDLSの各リソース毎に用いられているデータモデルは以下の図のとおりです.LODAC BDLSでは,名一つにつき一リソースとなっており,各名に関連するデータをグラフとして表現しています. 出典情報はそのグラフに紐付けられているNamed Graphとして定義されています.
学術用語 | http://lod.ac/bdls/term/ |
---|---|
種名 | http://lod.ac/bdls/species/ |
由来 | http://lod.ac/bdls/provenance/ |
データ源 | http://lod.ac/bdls/source/ |
データ提供者 | http://lod.ac/bdls/publisher/ |
各リソースIRI毎にContent-negotiationできるようになっています.また,IRIに拡張子を追加することでも取得可能です.以下がデータ形式とAcceptヘッダや拡張子の対応表になります.
データ形式 | Accpetヘッダ | 拡張子 |
---|---|---|
Turtle | text/turtle | .ttl |
N3 | text/n3 | .n3 |
RDF/XML | application/rdf+xml | .rdf |
RDF/JSON | application/json | .json |
TriX | application/trix | .trix |
TriG | application/trig | .trig |
例えばPapilio xuthusに関するデータをturtle形式で取得したい場合は, " curl -H 'Accept: text/turtle' http://lod.ac/bdls/species/Papilio_xuthus"のようにAcceptヘッダを送れば取得できます.
LODAC BDLSでは,自由に再利用可能にするために SPARQL Endpoint を公開しています.SPARQLを用いることで,より柔軟にデータを取得することが可能です. 例えば学名Papilio xuthusについて,出典情報も含めて取得したい場合は以下のようなクエリで問い合わせることができます.
PREFIX dcndl: http://ndl.go.jp/dcndl/terms/> PREFIX rdfs: <http://www.w3.org/2000/01/rdf-schema#> PREFIX dc: <http://purl.org/dc/terms/> SELECT DISTINCT * WHERE { GRAPH ?g { <http://lod.ac/bdls/species/Papilio_xuthus> ?p ?o . } ?g dc:source ?source . ?source dcndl:edition ?edition ; dc:publisher/rdfs:label ?publisher . }
オリジナルのデータである BDLS のライセンスが クリエイティブ・コモンズ 表示-継承ライセンス (CC-BY-SA) であるため,LODAC BDLSもそれに準じてCC-BY-SAの下で再利用可能です.
クレジット表記は" LODAC & Life Science Databases(LDBC)"を推奨します.